くさびの力のつり合い

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 くさびを挿入するときの、力の大きさを求める式に関する記事です。

 基本は、各面における水平・垂直方向の分力のつり合い式をたてることにあります。
 この記事では、各面の摩擦係数およびくさびの自重を考慮した、一般的な計算式の導出手順を解説しています。

 この種のくさび問題では、どこか1面でもすべらないと全体が動かないと考えます。
 つまり、その最後の1面がすべりだす時点で、他の面はいつでもすべり始められる状態になっているはずです。
 したがって、本記事では、すべりに関係する摩擦係数としては、動摩擦係数を考えるのが適切であろうとしています(すべりだした直後の状態)。
 すべりだす直前の状態では、最後まで頑張った面の最大静止摩擦力が、この力学系の支配的な要因となっているはずですので、厳密に考えようとするともう少し突っ込んだ考察が必要でしょう。

 なお、記事の最後で導出した F の式で、分母が0以下となるような、傾斜角度と摩擦係数の組合せの場合(下式)には、おもりは F の大きさにかかわらず動きません。
 くさび成立の条件:
  tanθ ≦ (1-μ2μ3)/(μ23)