姿勢拘束限定記号(><)

150

 

 姿勢拘束限定記号 (orientation constraint only) >< は、幾何公差が指示された形体の、姿勢だけを拘束するデータムを明示するために用いられます(ISO5459:2011)。

 右図で簡単に説明します。
 位置度公差は、上下2段に分けて指定されています。
 上段のΦ0.1の公差域は、穴の中心線が存在可能な領域で、2つの穴の中心線は、デフォルトで各々独立してこの青色公差域に入っていればよい、というものです。
 下段のΦ0.03の公差域は、上段の公差域を上書きしており、2つの穴の中心線はΦ0.03の公差域内での直角度を満足し、さらにCZ指定によりこれらは同期して動くことも指示しています。
 この場合、横方向の位置はあくまでも上段の位置度公差域に入っていればよいことになります。
 データムBの文字の横の><記号は、データムBに対する姿勢だけを拘束することを意味するため、2つのΦ0.03の公差域が斜め配置になることを禁じています。

 この><記号を用いなくても意図は通じますが、ISOでは姿勢の基準となるデータムを明示するための記号として用意しています。

 

 

<参考規格>
・ISO 5459:2011 GPS-Geometrical tolerancing-Datums and datum systems