技術士

 

技術士』とは、

科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画研究設計分析試験評価又はこれらに関する指導の業務を行う者

と定義されています。(技術士法 第二条より抜粋)

 

これを業務プロセスのPDCAサイクルに当てはめて考えると右図のように表現できます。
定義上は「開発」という言葉はありません。これはPDCAサイクルの業務が開発行為そのものであるからです。
つまり、技術士は広義の開発技術を有しそれを指導する技術者です。

 

 

 


<試験概要と対策のヒント>

参考:日本技術士会

-【第一次試験】

・基礎科目、適性科目、専門科目の3つの問題が出題されます。
基礎と適性は全技術部門共通です。
そのため例えば機械系の人であっても化学や情報処理系の知識をある程度磨いておかないといけません。
・第一次試験用の参考書、問題集は数多く出版されているのでそれらの中から自分に合ったものを何冊か揃えましょう。(本屋さんで実際に手に取ってみることも大切)
そして、過去問をしっかりと繰り返し解くことが大切です。
技術士第一次試験基礎・適性科目完全解答(オーム社)
・合格率は40%前後とあまり低くはありませんが、6割以上の得点をとるにはそれなりに勉強しておく必要があります。

・なお、JABEE認定校を卒業した人はこの第一次試験は免除になりますので、ご自分が該当するかどうか確認してみて下さい。(日本技術者教育認定機構(JABEE)

-【第二次試験】

・令和元年度から筆記試験は論文のみになりました。問題は、

Ⅰ 必須科目:「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力 
Ⅱ 選択科目:「選択科目」についての専門知識、応用能力
Ⅲ 選択科目:「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力

を問う内容から出題されます。
この中でもⅢの出来栄えが合否に大きく影響しますし、逆にⅢをきちんと仕上げられる力がつけばⅠやⅡは比較的取り組み易くなると思います。

・第二次試験用の参考書も色々出版されていますが、例文を丸暗記してもまず役には立ちません。
常日頃から論理的に文章を組み立てる練習を心掛け習慣化させることが重要です。
技術士第二次試験参考書(日刊工業新聞)

社会人になるとメールでのやり取りが多くなりますが、メールと言えども少しだけ起承転結や誤字脱字に留意しておきましょう。
またSNS慣れしていると主語述語関係が乱れる傾向にあるので、これも少しずつ修正するよう心掛けて下さい。


<筆記試験対策>
-普段から気を付けておいた方がいい項目

経産省文科省総務省などが発行、公開している白書(例えば科学技術白書)などをDLして国がどのような方向を目指しているかを日ごろから意識するようにする。
-世界の科学技術情報はもちろん、経済や社会の状況も関心を持つよう心掛ける。
-環境問題、少子高齢化社会問題、原発問題、ゴミ処理問題などの諸問題にも自分なりの前向きな(←これ大事です)意見を持てるようにしておく。
-筆記試験では自分の業務にあてはめて問われる問題もあるので、普段の業務の意義や目的、将来展望などについて語れるようにしておく。
・自分の専門科目に関連する技術項目をリストアップしキーワード集を作成する。
この場合最初はできるだけ多くの項目を集め、次にそれらをカテゴリー
(例えば再生可能エネルギーに関連するもの、高齢化社会に対応するものなど)に整理・集約する。但しまとめに当たってはネット記事や文献の丸写しではなく、自分なりの解釈に基づいて文章化する。
・テーマ別の想定問題集を作成し論文下書きの練習をする。

これらのことは試験前になってあわててやってもあまり効果はありません。
意識していれば、どんなことにも根拠を元に合理的で論理的な説明ができるようになります。
また日誌でもなんでも手書きで文章を書くことを時々やっていた方がいいでしょう。
本番はもちろん手書きですし、読めるけど書けない漢字など結構気付きになるものです。

-論文テーマの例

・工業製品のライフサイクル(LCA)
・再生可能エネルギー
・地球温暖化対策
・生産統制
・コンカレントエンジニアリング
・最適設計技術
・ユニバーサルデザイン
・低騒音化設計
・不具合対策手法
・老朽化対策
・IoT(保守・運用サービス)
・設計の標準化
・クラウド技術導入
・高齢化社会に対応した支援機器
・自動運転技術
・製品の信頼性向上技術、手法

-論文記述の要点

・自分の考え方を述べた上で提案に入る。
・3つ挙げよ、との問いには次の2パターンで対応する。

⒜リスクを3つ挙げ各々について解決策を述べる。
⒝一つのリスクに対する実現可能な解決策を「人」「モノ」「金或いはシステム」の3つの視点から述べる。

・書きたいことを書くのではない。聞かれていることに対してキーワードをちりばめて書く。
・問題の選択肢が2つ以上ある場合は解決策がより多く思い浮かぶ問題を選択するが、知っているキーワードがある方にすぐに飛びつかず一歩引いて考える。
・設問で数が明示されている場合は必ずその数だけ挙げる。

-課題を2つ挙げよ
-方策を3つ示せ

・数が明示されていない場合は2つ以上取り上げる。

-問題点を挙げよ
-具体例を示せ

-体験談

私が受験時に選択科目Ⅲで選んだのは3D技術活用法に関する問題でした。
3D設計がごく一般に行われるようになった現在では、シミュレーションへの適用による設計品質向上とフロントローディング化や、非接触CMMを用いたリバースエンジニアリングによるマスカスタマイゼーションや検査の自動化などいろいろな活用法があります。
それらの一つから事例を挙げてもよかったのですが、どれも巷で話題になっているような技術であるため独自視点でのストーリー展開が少し難しい、つまり文章としては無難に書けても当たり前過ぎる内容になりそうです。
そこで思い当たったのが3Dデータにあらゆる設計情報を埋め込んで一元管理する手法でした。
なぜなら、私自身実はそのような流れには懐疑的なところがあってどちらかというと反対論者であったからです。
物事にただ反対だけしているのではなく、なぜ反対なのか、どうだったら賛成に回れるのか、という視点でストーリーを組み立てていくと自ずと改善策や運用指針のようなものが頭に浮かんできます。
素直に賛成できない理由を整理していくと、そこには課題や問題点がたくさん出てきます。一般に、やらない理由やできない理由はその逆よりははるかに述べやすいものです。
その結果、課題解決のためにやるべきこと(=自分が納得できること)やリスクがより明確になり、将来展望も描けるようになります。
批判、批評するのであれば代替策や改善策の提案ができるようであるべきだ、と後になって痛感しました。

 


<第一次試験適性科目重要事項>

法令、規格関連の重要項目をまとめたものです。
肯定/否定の表現はしばしばひっかけ問題として問われます。
個人情報保護法著作権法などは一度原文に目を通しておいた方がいいでしょう。


<キーワード整理表の例>

技術士(機械部門-機械設計)の論文対策用にネットや書籍から拾い集めた情報を、自分に分かりやすいように編集して整理したものです。
キーワードは過去問(*)を見てまず第一段階の抽出を行ない、その次に前述した国内外の技術テーマ、課題に即したキーワードを選定していきます。