切断正規分布

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 切断正規分布に関する解説です。

 切断正規分布(truncated normal distribution)は、ばらつきの上限または下限、あるいはその両方を切り取った正規分布です(片側だけ切り取ったものを、片側(切断)正規分布ともいいます)。

 通常、モノの大きさの規格は、設計中心値に対して±0.1などの公差を与えるため、ばらつきの評価はこれを正規化して、平均0、標準偏差1とした標準正規分布上で行います。

 しかし、ばらつきが0以上の値しかとらないケースもあります。 例えば、物体上の2点間の距離寸法は、それらが一致していれば0ですが、離れていれば必ず正の値しかとりません。
 また、部品の長さや重さに上限/下限値を設け、それを外れるものは除外する(ラインに投入しない)というケースでは、部品のばらつきは正規分布の両端を切断したような分布になります。

 切断正規分布は、通常の正規分布を単に切り出しただけではなく、切り取られた分だけ、(切断後の面積が1となるよう)縦方向に伸びた分布になることに注意して下さい。
 この分布は、ばらつきが指定範囲内に限定されるという条件(制約)の下での確率となります(これを、条件付き確率といいます)。

 この記事では、そのような「切断された」正規分布の、確率密度関数と累積分布関数、および期待値と分散を導出する手順について、解説しています。

 

<参考URL>
切断正規分布(NTRAND)

<参考規格>
・JIS Z8801-1:2019 試験用ふるい-第1部:金属製網ふるい