第3種電気主任技術者(電験3種)

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<概要>

 電験3種は「第3種電気主任技術者」の国家資格試験です(経産省管轄)。
 試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で、全科目受験の場合ほぼ丸一日拘束されます。
 またこの試験は、電気・電子工学を学びそれを業務としている人にとっても難関試験の一つです。
 では、それ以外の専門分野の人にとっては敷居が高過ぎるのかというと、そうでもありません。
 電験は科目合格制度が採用されていて、3年以内に4科目全てに合格できれば合格となります。
 勉強の仕方にはコツがありますが、世の中の機器は基本的に電気で動いているのだと俯瞰して考えるようにすれば、どの科目もそれなりに重要なことを問われているのだと納得できますし、勉強のモチベーションにも繋がります。

<科目別試験概要>
-理論

 電気・電子系を専攻した人にとって多くは常識的な内容だと思いますが、それ以外の人には高校物理の電磁気学の再勉強から始まることになります。
 ただ、市販の書籍やネット上の解説は分かり易く書かれたものが多く、学生時代の教科書よりははるかに理解が進むのではないかと思います。
 電験では、三相交流回路や線路の開閉に伴う過渡現象に関する理解も必要です。

-電力

 発電、変電、送配電に関係した分野からの出題となります。
 水力発電に関する問題も出題されますが、機械にも関連するため並行して学習した方が効率がいいように思います。
 Δ、Y、V結線の仕組みと短絡電流、電力損失の計算方法は理解しておきます。

-機械

 発電機や電動機の構造や動作原理の理解が必須です。
 直流機/交流機、誘導機/同期機の動作原理も覚えます。
 また、試験には照明に関する問題もよく出題されます。
 なお、動力計算や伝達関数、論理回路の真理値表を求めるなど機械・制御工学分野の出題もあるため、それらを専攻した経験のある人には多少取り組み易いと思います。

-法規

 電験の法規は、法令条文の解釈を問われる問題に加え、数々の規格数値とそれらを使った計算問題が出題されますが、近年は設問の難度が上がってきており合格点調整が頻繫に行われています。
 計算問題の一部は、電力や機械の範疇も含まれているため、それらの学習を強化しておくと良いです。
 規格数値は「~以上」「~を超え」や「~以下」「~未満」という形で範囲規定されているため、例えば300Vや1秒という数値が出てきた時に、その値を含む場合と含まない場合とで計算式が異なるケースがあります。
 数字だけ見ていても覚えきれないため、自分なりに表やグラフに表してみて視覚的に理解するのも一つの方法です。
 電気工事は一つ間違えると人命に関わるものでもあり、それ故関連法規は安全に配慮して非常に細かく規定されているということがよくわかります。
 余談ですが、法規の勉強をすると電信柱を見る目が変わります。

 


<回路記号の新旧比較表>

 1999年頃にJISが改訂され、回路記号の多くがIEC準拠のため見直されました。
 そのごく一部ですが、試験問題では頻出の記号をいくつかピックアップして比較したものです。
 改訂から20年以上経った現在でも、旧記号が使われている例は多いようですが、学校の授業や試験問題で使われるのは新記号です。


<キーポイント集>

 

理論
電力
機械
法規

 

 


[参考文献]

不動弘幸(2016) “電験三種 完全攻略(改訂4版)” オーム社
早川義春(2018) “電験三種 やさしく学ぶ理論(改訂2版)” オーム社
跡部康秀(2017) “一発合格!やさしくわかる電験三種 電力 テキスト&問題集” ナツメ社
大谷嘉能(2018) “完全マスター電験三種受験テキスト 機械(改訂2版)” オーム社
中辻哲夫(2018) “電験三種 やさしく学ぶ法規(改訂2版)” オーム社