切下げ限界歯数

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 歯車の歯数が少なくなると、歯切りの際にラック工具などの工具刃先により、歯形のインボリュート曲線の歯元側が切り取られる現象が発生します。
 これを切下げ(natural undercut)と呼びますが、ここでは切下げが生じる条件について、その式導出手順も含め簡単にまとめています。

 切下げは、歯元の歯厚が薄くなることによる歯の強度低下や、かみ合い率の低下の要因の一つになります。
 したがって、歯車に要求される耐久性仕様に応じて、どこまでの切下げを許容するかも設計上の留意点となります。

 なお、理論上の切下げ限界歯数は18(←17.1の切り上げ)ですが、実用上は14まで許容できるとされています。
 本記事では限界歯数が理論値より小さくできる理由も解説しています。

〔参考〕

 右のグラフは、インボリュートとトロコイドの交点位置の半径と基礎円半径の差(ri – rb)を縦軸にして、その値(すみ肉開始位置変化量)が歯数の増減に伴い、どのように変化するかを示したものです。
(交点位置の算出は別掲の 歯形曲線上の点の座標 の記事を参考)

 

 図中、理論切下げ限界歯数(赤破線)より右側は、インボリュートとトロコイドが接線連続している領域で、交点(接点)位置は歯数の減少に伴い基礎円に近づいていきます。
 一方左側は、トロコイドによりインボリュートが切り取られて、交点位置が再び増加に転じている領域(切下げが発生している領域)です。

 

<関連ページ>

歯形曲線上の点の座標

 

<参考資料>

小原歯車工業㈱ 歯車技術資料