歯形係数

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 歯車の強度計算では、前もって歯形係数を求めておく必要があります。
 歯形係数(tooth form factor)は、歯元の危険断面位置に生じる最大曲げ応力を無次元化した、一種の断面係数のようなものです。
 JIS (B1759:2019)にはその算出式が掲載されていますが、その導出手順を簡単にまとめてみました。
 算出に使用される変数や補助変数の意味も、分かる範囲で図例を挙げて説明していますが、一部あいまいな部分もあることは予めご了解願います。

 なおJISの式では、記事中のθを求めるために補助変数を定義して計算していますが、30°接線位置までのラック工具回転角θrが求まれば、これらの変数を用いる必要はありません(JIS式は、ラック工具刃先が歯底円と接している状態から、30°接線との接点位置まで回転する角度を計算しています)。

 このθrは、別掲記事(歯形曲線の接線)内の計算方法により求めることが可能です(θrが求まれば接点座標も求まります)。

 

 ちなみに、歯形係数の式にはモジュール(mn)の項が入っていますが、最終的にはこれは相殺されて、歯形係数自体はモジュールの大きさには無関係となります。

 本記事の内容を元に作成した、歯形係数計算Excelシートも参考に添付しています。
 なお、シート内の「計算フラグ」がJGMAの場合は、歯先に荷重がかかった状態(安全側)での計算結果になります。
 一般には、歯形係数のグラフは、JGMAの式に準拠したものが多いですが、このシートではJIS(ISO)の式によるグラフ(右下図)も掲載しています。

JGMA式

 

JIS式

 

<参考資料>

小原歯車工業㈱ 歯車技術資料

・ISO 6336-3:2019 
  (Calculation of load capacity of spur and helical gears – Part3:Calculation of tooth bending strength)

・塚本,金丸 (1971), “平歯車の曲げ強度計算式における歯形係数”, 機械設計 第15巻第8号, 日刊工業新聞社

 


 

 

 


歯形係数計算Excel

 本稿の計算式に基づいて歯形係数を計算するExcelシートです。
 計算結果の確認用に、計算点をグラフ上に表示します。
 なお、このグラフは、歯数6以上の歯形係数に対応しています(revH以降)。
 注意: revIまでは、計算式記述ミスによりねじれ角が0°以外の場合に歯形係数が正しく計算されていません。
    この不具合はrevJ以降で修正してあります。

 マクロにはロックをかけていますが、中身を確認したい方はお問合せフォームよりご依頼いただければ、ロック解除版の提供も可能です。

 

 

2023.6.10 更新 (revI→revJ)