最小二乗円

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最小二乗円の算出方法に関する記事です。

 真円度や同軸度の測定では、真円度測定器などで円筒面の凹凸データ(測得データ)を取得して、データのばらつきを最小とする近似円を求めます。
 この近似円を最小二乗円と呼び、この円の中心座標の基準円中心からのずれが同軸度、近似円の最大内接円と最小外接円の半径差が真円度となります。

 最小二乗円の計算の基本は、回帰分析での最小二乗法になりますが、直線回帰と異なり数学的には少し複雑な手順を踏むことになります。
 ここでは、一般的に知られている算出方法に基づいて解説しています。

 なお後半では、JIS B7451:1997 の附属書2に記載されている、最小二乗円の近似式(右欄)の導出方法について解説しています。
 測定データが多く、またばらつきが(真円度評価に見合う程度に)小さい場合は、このJISの近似式でも十分精度よく近似円を求めることができます。

円筒面の n 個の測定データ (xn,yn) を用いると、近似円の中心座標 (a,b) と半径 R は、次式で求まる。

 a = 2Σxi / n
 b = 2Σyi / n
 R = Σri / n
 (i = 0 … n – 1)
 r は、近似円中心から各測定点までの距離

 

<参考URL>
一般式による最小二乗法(円の最小二乗法)

<参考規格>
・JIS B7451:1997 真円度測定機
・ISO 4291-1985 Methods for the assessement of departure from roundness – Measurement of variations in radius

 

 



 


最小二乗円サンプル

 本記事で解説した手順に則って、最小二乗円を求めるExcelファイルです。
 サンプル版のシートでは、乱数生成ボタンを押すと、基準半径をゼロ基準としたばらつきデータが作成され、計算が実行されます。
 手動版のシートでは、x,y座標を入力後計算ボタンを押すことで、計算が実行されます。

<更新履歴>
・revD:データ処理方法を変更しました。これにより、Excel2021以降またはMicrosoft365の環境が必要となります。

 

 


2025.12.6 公開 (revD)

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