傾斜度の注意点

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傾斜度を使用する上での留意事項に関する解説です。

 傾斜度は姿勢公差の一つで、姿勢公差のグループの中では唯一(明示的に)TEDを使用します(厳密には、姿勢公差としての輪郭度も、TEDを使用する場合があります)

 このTEDは角度寸法ですが、公差域は角度ではなく、あくまでも平行2平面の間であることに注意します。
 また、斜面には方向性があるため、その傾斜方向を決めるために、適切なデータム設定が必要となります。

 

 右図は、データムを2つ参照した傾斜度の図例を、JIS(左)とISO(右)で比較したものです。
 両者はよく似ていますが、傾斜度が参照するデータムの並び順が逆になっています。
 ただし、斜面に対する設計要求により、どちらの指示方法もあり得ます(本記事では、ISOの図例に準じた指示方法での解説をしています)。

 

著書(“GD&T活用術” 日刊工業新聞社) 第3章 

 

<参考規格>
・JIS B0621:1984 幾何偏差の定義及び表示
・JIS B0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式
・JIS B0420-3:2020 製品の幾何特性仕様(GPS)-寸法の公差表示方式-第3部:角度に関わるサイズ
・ISO 14405-3:2016 Geometrical product specifications (GPS) — Dimensional tolerancing Part 3: Angular sizes

 


 

 


 

キーワード
傾斜度,JIS B0021,公差域,設計意図