最小実体公差方式

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最小実体公差方式に関する解説です。

 最小実体公差方式(LMR:least material requirement)は、軸が圧入される穴とその外側の壁(面)との間の最小肉厚を確保し、破断防止を図ることが主目的の、公差緩和方式です。

 似たような用語に、最大実体公差方式(MMR)がありますが、MMRがすきまばめによるはめあいを合理的に成立させ、歩留まり向上を図るものであることに対し、LMRはしまりばめによるはめあい、すなわち圧入部品の最小肉厚を保証し、強度確保を図るための手法となります。
 したがって、両者は目的が全く異なることに注意して下さい。

 LMRの実設計への適用は、理屈のうえでは有用なものですが、実際問題としてこの手法が必要となるのは、ごく限られたケース(薄肉が要求される限界設計など)と思われます。

 

<参考規格>
・JIS B0023:1996 製図-幾何公差表示方式-最大実体公差方式及び最小実体公差方式
・ISO 2692:2014 GPS-Geometrical tolerancing-MMR,LMR and RMR