動的公差線図

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動的公差線図に関する解説です。

 動的公差線図(dynamic tolerance diagram)は、最大実体公差方式(MMR:maximum material requirement)の適用による公差域拡大の様子を、視覚的に検討できる図として、JIS B0023:1996 で紹介されています。
 注) MMRなどはISO 2692:2014で規定されていますが、動的公差線図に関する記述がないため、おそらくJIS独自の表現方法と思われます。

 MMRは、すきまばめの場合のはめあい公差方式に適用されますが、設定した公差クラスに対応した幾何公差値を、動的公差線図を使って検討するためのツールを公開していますので、そちらも参照してください。(→こちら)

軸の場合の動的公差線図の例

 なお、動的公差線図によるはめあい公差の設定は、基本的に軸と穴の最大実体実効サイズ(MMVS:maximum material virtual size)が一致することが前提です。
 これは、軸と穴のサイズ(直径)と幾何偏差(中心線の曲がり)が最悪の組合せであっても、確実にはめあいが成立することを意味していますが、裏を返せば完全互換を要求する過剰な設定でもあります。
 実設計においては、ばらつきが正規分布することを前提とした公差計算によって、最終的な公差値を決定すべきでしょう。
 これに関しては、別掲のはめあいと公差計算の記事も参考にして下さい。

 

<参考規格>
・JIS B0023:1996 製図-幾何公差表示方式-最大実体公差方式及び最小実体公差方式
・ISO 2692:2014 GPS-Geometrical tolerancing-MMR,LMR and RMR

<参考記事>
JIS推奨はめあい公差と動的公差線図

 


 


動的公差線図

 動的公差線図を作成するExcelシートです。
 許容差と幾何公差およびMMR(最大実体公差方式の適用)を設定すると、それらに対応した動的公差線図が表示されます。

 


2024.12.24公開 (revA)

DL解除コード:a104


キーワード
最大実体サイズ,最小実体サイズ,MMS,LMS,JIS B0023,JIS B0401,はめあい公差,公差クラス,すきまばめ,MMVS,クリアランス